NHKは10月21日、加藤一億総活躍担当大臣の事実誤認に基づく意見をそのまま伝えるという過ちをおかした。加藤大臣が同日、「日本の歴史の中で女性の天皇はいたが、その子どもに皇位を継がせることはなかった」と述べ、「長い歴史の中で続いてきたものを大事にしていくことが重要」などとし、「女系天皇は認めるべきではない」という考えを示したとする記事である。
■加藤大臣の事実誤認を垂れ流し、さらに偏向の一文を加筆したNHK
「女性天皇の子に皇位を継がせることはなかった」は、明確な誤りだ(本記事の後半で詳述)。NHKはその誤った内容をそのまま紹介したうえ、偏向に満ちた言葉で記事を結んでいる。「政府の有識者会議では、従来からの課題となっている女性・女系天皇については検討しないことになっています」という一文である。
この文章内容それ自体は誤りではない。しかし、NHKはさかのぼること4日、生前退位の有識者会議の初会合を伝える10月17日の記事で、「現在の皇室制度では、皇太子さまが天皇陛下に代わって即位されると、皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べているのである。つまり、いわゆる「皇太弟」については検討対象となるだろうと憶測している。そう憶測を書いたNHKが、加藤大臣の誤った認識に基づく主張をことさら取り上げて紹介しつつ、「女性・女系天皇については検討しないことになっています」と断定したのである。偏向が透けて見えると言わざるをえない。
さも当たり前のような顔つきで「皇太子さまが天皇陛下に代わって即位されると、皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べる文は、はっきりと偏向している。「皇太子が不在となるため」の後に続く文章は、「秋篠宮さまをどのように位置づけるのか」ではなく、「愛子さまを新たに女性皇太子として位置づけるかどうかも検討の対象となってきそうです」と続くのが当たり前ではないか。これまでの国会審議、国民世論、世界の趨勢を鑑みれば、それが当たり前のはずだ。NHKは、これまでの国会審議も、いま現在の国民世論も、世界の趨勢もことさら無いものとして、目をつむり耳をふさいで、「秋篠宮さまをどのように位置づけるのかが検討対象」と述べる。国民を一定方向に誘導しようとする、恐るべき公共放送の姿である。
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▲左:加藤一億総活躍相 女系天皇認めるべきではない(NHK、10月21日18時32分)
加藤大臣の事実誤認に基づく主張を紹介した後、「政府の有識者会議では、女性・女系天皇については検討しないことになっています」と述べるNHK記事。
▲右:生前退位の有識者会議きょう初会合 提言に向け検討本格化(NHK,10月17日4時46分)
「生前退位に向けての課題」の1つとして、「皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べるNHK記事。
■「女性天皇の子は皇位継承していない」は明らかな間違い
加藤大臣が女系天皇反対の根拠として述べる「女性天皇の子は皇位継承していない」は明らかな間違いだ。以下、8人の女性天皇について詳細な説明をしてくださった(あぶらちゃん)様、(浜名 勇三)様のコメントから引用して解説する。
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▲飛鳥時代の皇統譜(出所:Wikipedia)
33代・推古天皇については、御子の即位はない。
35代・37代の皇極(斉明)天皇は、天智天皇と天武天皇の実母である。
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▲白鳳・奈良時代の皇統譜(出所:Wikipedia)
41代・持統天皇については、御子の即位はない。43代元明天皇は、42代・文武天皇と44代・元正天皇の実母である。第44代・元正天皇は独身、第46・48代孝謙(称徳)天皇も独身だった。
この間の華やかな女性天皇の活躍ぶりを、(浜名 勇三)様は次のように描出されている。
第44代・元正天皇(女性)の御世である718年に、46代・48代の天皇である孝謙(称徳)天皇が生誕した。この年、元正天皇の実母である第43代・元明天皇は太上天皇としてお元気であられた。718年から721年までの3年間、43代の女性天皇(元明)、その43代を母とする実娘の44代天皇(元正)、46代・48代の女性天皇(孝謙/称徳)の3人が相見えていたのである。46代・48代の孝謙(称徳)天皇は、45代・聖武天皇の実娘である阿倍内親王だ。阿倍内親王は738年に立太子して皇太子となられた。
743年5月5日、皇太子である阿倍内親王は、内裏で「五節(田)舞」を舞った。その場に、44代・元正太上天皇と、45代・聖武天皇がいた。6年後の749年、聖武天皇の譲位により、その実娘の皇太子・阿倍内親王が即位した。孝謙天皇である。
江戸時代の明正天皇、後桜町天皇は、ともに独身だった。
まとめると、8人の女帝のうち、5代4人の女帝が御子に恵まれ、そのうち半分の2人の女帝(元明、皇極/斉明)の御子が即位されたことになる。元明天皇については、夫の草壁皇子は即位していないので、純粋に“女帝の子”が2人、即位している。皇極(斉明)天皇は2人の天皇(天智、天武)の実母であるが、夫もまた天皇(舒明天皇)であるため、「天智と天武は舒明の子」と屁理屈を言い出す人間もいそうだ。ちなみに、孝謙天皇は立太子してからの即位である。皇太子に立った時点では異母弟がいたにも関わらず、である。(by あぶらちゃん様)
以上のように、女性天皇の子も性別を問わず、天皇として即位している。ゆえに男系男子派の主張は完全に間違っている。だけでなく、男系男子派は皇室史、天皇史を誤認しながら間違いを流布している。それはすなわち、男系男子派は皇室、天皇、皇族を侮蔑しているということに他ならない。(by 浜名勇三様)
■加藤大臣の事実誤認を垂れ流し、さらに偏向の一文を加筆したNHK
「女性天皇の子に皇位を継がせることはなかった」は、明確な誤りだ(本記事の後半で詳述)。NHKはその誤った内容をそのまま紹介したうえ、偏向に満ちた言葉で記事を結んでいる。「政府の有識者会議では、従来からの課題となっている女性・女系天皇については検討しないことになっています」という一文である。
この文章内容それ自体は誤りではない。しかし、NHKはさかのぼること4日、生前退位の有識者会議の初会合を伝える10月17日の記事で、「現在の皇室制度では、皇太子さまが天皇陛下に代わって即位されると、皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べているのである。つまり、いわゆる「皇太弟」については検討対象となるだろうと憶測している。そう憶測を書いたNHKが、加藤大臣の誤った認識に基づく主張をことさら取り上げて紹介しつつ、「女性・女系天皇については検討しないことになっています」と断定したのである。偏向が透けて見えると言わざるをえない。
さも当たり前のような顔つきで「皇太子さまが天皇陛下に代わって即位されると、皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べる文は、はっきりと偏向している。「皇太子が不在となるため」の後に続く文章は、「秋篠宮さまをどのように位置づけるのか」ではなく、「愛子さまを新たに女性皇太子として位置づけるかどうかも検討の対象となってきそうです」と続くのが当たり前ではないか。これまでの国会審議、国民世論、世界の趨勢を鑑みれば、それが当たり前のはずだ。NHKは、これまでの国会審議も、いま現在の国民世論も、世界の趨勢もことさら無いものとして、目をつむり耳をふさいで、「秋篠宮さまをどのように位置づけるのかが検討対象」と述べる。国民を一定方向に誘導しようとする、恐るべき公共放送の姿である。
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▲左:加藤一億総活躍相 女系天皇認めるべきではない(NHK、10月21日18時32分)
加藤大臣の事実誤認に基づく主張を紹介した後、「政府の有識者会議では、女性・女系天皇については検討しないことになっています」と述べるNHK記事。
▲右:生前退位の有識者会議きょう初会合 提言に向け検討本格化(NHK,10月17日4時46分)
「生前退位に向けての課題」の1つとして、「皇太子が不在となるため、秋篠宮さまをどのように位置づけるのかも検討の対象となってきそうです」と述べるNHK記事。
■「女性天皇の子は皇位継承していない」は明らかな間違い
加藤大臣が女系天皇反対の根拠として述べる「女性天皇の子は皇位継承していない」は明らかな間違いだ。以下、8人の女性天皇について詳細な説明をしてくださった(あぶらちゃん)様、(浜名 勇三)様のコメントから引用して解説する。
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▲飛鳥時代の皇統譜(出所:Wikipedia)
33代・推古天皇については、御子の即位はない。
35代・37代の皇極(斉明)天皇は、天智天皇と天武天皇の実母である。
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▲白鳳・奈良時代の皇統譜(出所:Wikipedia)
41代・持統天皇については、御子の即位はない。43代元明天皇は、42代・文武天皇と44代・元正天皇の実母である。第44代・元正天皇は独身、第46・48代孝謙(称徳)天皇も独身だった。
この間の華やかな女性天皇の活躍ぶりを、(浜名 勇三)様は次のように描出されている。
第44代・元正天皇(女性)の御世である718年に、46代・48代の天皇である孝謙(称徳)天皇が生誕した。この年、元正天皇の実母である第43代・元明天皇は太上天皇としてお元気であられた。718年から721年までの3年間、43代の女性天皇(元明)、その43代を母とする実娘の44代天皇(元正)、46代・48代の女性天皇(孝謙/称徳)の3人が相見えていたのである。46代・48代の孝謙(称徳)天皇は、45代・聖武天皇の実娘である阿倍内親王だ。阿倍内親王は738年に立太子して皇太子となられた。
743年5月5日、皇太子である阿倍内親王は、内裏で「五節(田)舞」を舞った。その場に、44代・元正太上天皇と、45代・聖武天皇がいた。6年後の749年、聖武天皇の譲位により、その実娘の皇太子・阿倍内親王が即位した。孝謙天皇である。
江戸時代の明正天皇、後桜町天皇は、ともに独身だった。
まとめると、8人の女帝のうち、5代4人の女帝が御子に恵まれ、そのうち半分の2人の女帝(元明、皇極/斉明)の御子が即位されたことになる。元明天皇については、夫の草壁皇子は即位していないので、純粋に“女帝の子”が2人、即位している。皇極(斉明)天皇は2人の天皇(天智、天武)の実母であるが、夫もまた天皇(舒明天皇)であるため、「天智と天武は舒明の子」と屁理屈を言い出す人間もいそうだ。ちなみに、孝謙天皇は立太子してからの即位である。皇太子に立った時点では異母弟がいたにも関わらず、である。(by あぶらちゃん様)
以上のように、女性天皇の子も性別を問わず、天皇として即位している。ゆえに男系男子派の主張は完全に間違っている。だけでなく、男系男子派は皇室史、天皇史を誤認しながら間違いを流布している。それはすなわち、男系男子派は皇室、天皇、皇族を侮蔑しているということに他ならない。(by 浜名勇三様)