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【資料】天皇の退位をめぐり衆参両院の正副議長が提示した「国会見解案」全文

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天皇の退位をめぐり、衆参両院の正副議長が3月15日に提示した「国会見解案」全文が、3月16日朝刊に掲載されました。この全文で注目すべきは、「皇嗣」にかかわる部分です。「皇嗣」とは「皇位を継承するよう定められた者。皇太子」という意味ですから、国民はとうぜん、次期天皇の一人娘である愛子さまを指していると考えます。しかし、この見解案はこの国民の思いを裏切り、今上天皇の退位後に皇位継承順が1位となる秋篠宮を「皇嗣」とすることを検討するとしています。皇統にかかわる重大事であるにもかかわらず、わかりにくい記述となってるため、見落とす人も多そうです。

たとえば、「四 特例法の概要」の「(三)退位後の天皇のご身位、敬称、待遇等および皇嗣に係る事項に関する特例規定」に、法整備に係る検討項目として「皇嗣の呼称など」が出てきます。「皇嗣の呼称など」という言葉から、これが秋篠宮を皇太弟と呼べるようにするための法整備などと理解する国民はどれだけいるでしょうか? 皇嗣たるべき愛子さまをどうお呼びするか(皇太子か皇太女か等)を検討するのかな、などと考える人が多いのではないでしょうか。

また、「別紙 天皇の退位に関連して検討を要する主な法律の規定」の9番目に「今上天皇の退位後の文仁親王(秋篠宮)殿下に関連する規定」があり、「①呼称…第8条〔皇太子・皇太孫〕②皇族の身分の離脱制限の要否…第11条〔皇族の身分の離脱〕」と出てきます。「8条」「11条」とは現在の皇室典範条文を指しており、以下の通り。

第8条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。

第11条 年齢15年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
○2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。

つまり、秋篠宮を皇室典範に記載がない「皇太弟」とするために、第8条をどう変えるか。また、皇太弟という新しい身分について、第11条にどう盛り込むか、法整備を検討するという話です。11条については、皇太弟は「皇族の身分を離れる」ことができないように規定するつもりなのでしょう。根強い噂がある「秋篠宮は皇后の実子ではない(偽皇族)」ということが今後DNA検査などで判明しても、皇室を追われることがないようにという配慮なのでしょうか。

しかし、本当にわかりにくい記述です。政府は、生前退位について国民に広く論議を喚起する必要があるなどと言いながら、国民にできるだけ分かりにくくして検討を進め、いつの間にか愛子皇太子ではなく、文仁皇太弟になっているように画策しているとしか思われません。東宮家には愛子さまという立派な御子がいらっしゃるのに、皇室典範第一条(下記)により、存在しないことにされてしまうわけで、この典範こそ変えるべきなのです。

第一条  皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

男系男子しか皇位を継げないというのは明治以降の浅い歴史でしかなく、女子でも皇位を継承できるように典範を改正するのが筋であり、国民世論もそれを望んでいることは周知の事実。しかし、この国会見解案では、そうした事実を一顧だにせず、秋篠宮を次代の皇嗣=皇太弟にすることを検討課題としているわけです。

この国会見解案により、退位をめぐる法整備が「次々代に秋篠宮家に皇統を移す」方向へ舵を切ろうとしていることが明らかになりました。国民が反対の声をあげないと、今国会中(6月18日まで)に決められてしまうという緊急事態です。反対の声を強くあげていくために、どうするべきか。ご意見をお聞かせください。

天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長が十五日に提示した国会見解案全文は次の通り。
次代の「皇嗣」に関する記述、および秋篠宮に関する記述ついては赤字で示しています(index注)。

退位巡る国会見解案全文(東京新聞2017/03/16)

 「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論の取りまとめ

一 はじめに――立法府の主体的な取り組みの必要性
 「天皇の退位等」に関する問題を議論するに当たって、各政党・各会派は、象徴天皇制を定める日本国憲法を基本として、国民代表機関たる立法府の主体的な取り組みが必要であるとの認識で一致し、我々4者に対し、「立法府の総意」をとりまとめるべく、ご下命をいただいた。

二 今上天皇の「おことば」および退位・皇位継承の安定性に関する共通認識
 その上で、各政党・各会派におかれては、ともに真摯に議論を重ねていただき、その結果として、次の諸点については、共通認識となったところである。

 ①昨年8月8日の今上天皇の「おことば」を重く受け止めていること。
 ②今上天皇が、現行憲法にふさわしい象徴天皇の在り方として、積極的に国民の声に耳を傾け、思いに寄り添うことが必要であると考えて行ってこられた象徴としての行為は、国民の幅広い共感を受けていること。
 このことを踏まえ、かつ、今上天皇がご高齢になられ、これまでのようにご活動を行うことに困難を感じておられる状況において、上記の「おことば」以降、退位を認めることについて広く国民の理解が得られており、立法府としても、今上天皇が退位することができるように立法措置を講ずること。
 ③上記②の象徴天皇の在り方を今後とも堅持していく上で、安定的な皇位継承が必要であり、政府においては、そのための方策について速やかに検討を加えるべきであること。

三 皇室典範の改正の必要性とその概要
 (一)さらに、各政党・各会派においては、以上の共通認識を前提に、今回の天皇の退位およびこれに伴う皇位の継承に係る法整備に当たっては、憲法上の疑義が生ずることがないようにすべきであるとの観点から、皇室典範の改正が必要であるという点で一致したところである。

 (二)その具体的な書き方については、「天皇の退位については皇室典範の本則に規定すべきである」との強い主張もあったが、我々4者としては、そのような主張の趣旨をも十分に踏まえながら、①国民の意思を代表する国会が退位等の問題について明確に責任を持って、その都度、判断するべきこと、②これにより、象徴天皇制が国民の総意に基づくものとして一層国民の理解と共感を得ることにつながること等といった観点から、皇室典範の付則に特例法と皇室典範の関係を示す規定を置いた上で、これに基づく退位の具体的措置等については、皇室典範の特例法であることを示す題名の法律(以下単に「特例法」という)で規定するのがよいと考えた次第である。
 具体的には、皇室典範の付則に、次のような趣旨の規定を置き、この下で特例法を定めるものとすることが考えられるのではないか。
 この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、この法律と一体をなすものである。
 この規定により、①憲法第2条違反との疑義が払拭されること、②退位は例外的措置であること、③将来の天皇の退位の際の先例となり得ることが、明らかになるものと考えられる。

四 特例法の概要
 特例法においては、以下のような趣旨の規定を置くことが適当ではないか。

(一)今上天皇の退位に至る事情等に関する規定に盛り込むべき事項
 ①今上天皇の象徴天皇としてのご活動と国民からの敬愛
 昨年8月8日の「おことば」は、国民の間で広く深い敬愛をもって受け止められていること。また、今上天皇は、在位28年余の間、象徴としての行為を大切にしてこられ、これに対する国民の幅広い共感を受けていること。
 ②今上天皇・皇太子の現況等
 今上天皇が高齢であること。皇太子は、今上天皇が即位された年齢をこえ、長年、国事行為の臨時代行等を務めてこられたこと。
 ③今上天皇の「おことば」とその発表以降の退位に関する国民の理解と共感
 今上天皇の退位については、従来のようにお務めを果たすことに困難を感じておられる状況において、昨年8月8日の「おことば」が発表されて以降、そのお気持ちが広く国民に理解され、共感が形成されていること。立法府においても、その必要性が共通認識となっていること。

(二)今上天皇の退位とこれに伴う皇位継承に関する規定
 ※今上天皇の退位の時期の決定手続きにおける皇室会議の関与のあり方については、国会における法案審議等を踏まえ、各政党・各会派間において協議を行い、付帯決議に盛り込むこと等を含めて結論を得るよう努力するものとする。

(三)退位後の天皇のご身位、敬称、待遇等および皇嗣に係る事項に関する特例規定
 退位後の今上天皇の補佐体制その他の退位に伴う諸事項(宮内庁法、皇室経済法等)の法整備を含む。
 ※「退位した天皇の呼称など」「皇嗣の呼称など」および「その他」に関する項目については、上記の法整備に係る検討項目の中に含まれている。
 以上のような法形式をとることにより、国権の最高機関たる国会が、特例法の制定を通じて、その都度、諸事情を勘案し、退位の是非に関する国民の受け止め方を踏まえて判断することが可能となり、恣意的な退位や強制的な退位を避けることができることとなる一方、これが先例となって、将来の天皇の退位の際の考慮事情としても機能し得るものと考える。

五 安定的な皇位継承を確保するための方策についての検討および国会報告について
 安定的な皇位継承を確保するための女性宮家の創設等については、政府において、今般の「皇室典範の付則の改正」および「特例法」の施行後速やかに検討すべきとの点において各政党・各会派の共通認識に至っていたが、その検討結果の国会報告の時期については、「明示することは困難である」とする主張と「1年をめどとすべきである」とする主張があり、国会における法案審議等を踏まえ、各政党・各会派間において協議を行い、付帯決議に盛り込むこと等を含めて合意を得るよう努力していただきたい。

六 おわりに――政府に対する要請
 各政党・各会派においては、いずれも「退位に係る立法措置は今国会で成立させるべき」との思いを共有している。
 したがって、政府においては、以上に述べた「立法府の総意」を厳粛に受け止め、直ちに法律案の立案に着手し、誠実に立案作業を行うとともに、法律案の骨子を事前に各政党・各会派に説明しつつ、法律案の要綱が出来上がった段階において、当該要綱を「全体会議」に提示していただき、そこで確認を経た後、速やかに国会に提出することを強く求めるものである。

別紙 天皇の退位に関連して検討を要する主な法律の規定
1 皇室典範の関連規定
 一 退位後の天皇を皇族の範囲に含めることの要否…第5条〔皇族の範囲〕、第11条〔皇族の身分の離脱〕
 二 退位後の天皇を皇位継承者・摂政就任者に含めることの要否
 ・第2条〔皇位継承の順位〕、第17条〔摂政就任の資格及び順位〕
 三 退位後の天皇の呼称…第5条〔皇族の範囲〕
 四 退位後の天皇の敬称…第23条〔敬称〕
 五 天皇の退位に係る儀式の要否…第24条〔即位の礼〕
 六 退位後の天皇が崩じたときの礼…第25条〔大喪の礼〕
 七 退位後の天皇が崩じたときの陵墓…第27条〔陵墓〕
 八 退位後の天皇の皇室会議の議員の就任制限の要否…第28条〔皇室会議の議員〕
 九 今上天皇の退位後の文仁親王(秋篠宮)殿下に関連する規定
  ①呼称…第8条〔皇太子・皇太孫〕
  ②皇族の身分の離脱制限の要否…第11条〔皇族の身分の離脱〕

2 皇室典範以外の法律の関連規定
 一 退位後の天皇の皇室費の定め(文仁親王殿下についても同様)…皇室経済法第4条〔内廷費〕、第5条〔宮廷費〕、第6条〔皇族費〕、皇室経済法施行法第7条〔内廷費の定額〕、第8条〔皇族費の定額〕
 二 退位後の天皇の国会の個別的議決不要の財産授受に関する一定価額の定め(文仁親王殿下についても同様)…皇室経済法施行法第2条
 三 退位後の天皇を補佐する宮内庁の組織及び人員等(文仁親王殿下についても同様)…宮内庁法第3条〔部の設置〕、第4条〔侍従職〕、第6条〔東宮職の事務〕、国家公務員法第2条(一般職及び特別職)、特別職の職員の給与に関する法律第1条(目的及び適用範囲)、別表第一、行政機関の職員の定員に関する法律第1条(定員の総数の最高限度)、警察法第29条(皇宮警察本部)、第69条(皇宮護衛官の階級、職務等)
 四 国民の祝日に関する法律第2条に定める天皇誕生日の改正
 五 三種の神器等に係る贈与税の非課税等…相続税法第12条(相続税の非課税財産)、第21条の3(贈与税の非課税財産)、関税定率法第14条第1号(無条件免税)
 六 退位後の天皇に対する刑法の名誉毀損罪・侮辱罪の告訴権者…刑法第232条(親告罪)
 七 退位後の天皇の住居に関する小型無人機等の飛行禁止区域の改正の要否…国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律第2条(定義)
 八 退位後の天皇の検察審査員の就任制限の要否…検察審査会法第6条
 ※元号法に基づく政令による元号の改め

(以上)

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