【7月17日:追加記事】
前回の追加記事では、NHKの「生前退位」スクープに秋篠宮サイドが関わっていたこと、多くのメディアが皇室典範改正に言及したものの、次期皇太子であられるべき東宮家の長女・愛子さまのご存在にはふれず、秋篠宮を皇太弟とするべきなどとする言論が横行したことを記しました。しかしその後、宮内庁と政府の姿勢にズレがあることが明らかとなり、「生前退位」の実現は困難であることがクローズアップされています。今回の記事で、その目まぐるしく変遷した報道の流れについて確認しておきたいと思います。
■7月13日~14日:NHKスクープとメディアの追随
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NHKが「生前退位」をスクープしたのは7月13日午後7時のニュースで、その後テレビ番組のほとんどがこれに追随。宮内庁は全否定するも、それを無視するかのように、多くのメディアが「生前退位」についてトップニュースとして扱いました。翌14日の新聞朝刊はほぼ全紙が一面トップで「生前退位」を取り上げ、TVのワイドショーも特集を組み、海外メディアでも大きく伝えられました。日本のメディアが「皇太弟」を連発したのはこのときです。
■7月14日:「生前退位は無理」と政府高官が明言、宮内庁との齟齬が明らかに
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14日は宮内庁御用達の「識者」がマスメディアに頻出して皇太弟の必要をアピールしていましたが、政府の逆襲はすでに当日朝からスタートしていました。安倍首相は「事柄の性格上コメントすることは差し控えさせていただきたい」と述べ、閣僚からは「公務軽減を軸に検討を」「摂政の検討を」という発言はあったものの、「生前退位」を肯定する発言はありませんでした。さらに「政府高官」名で、「生前退位は無理」というコメントが出され、官邸と宮内庁の齟齬が明らかになりました。
政府は、首相官邸で極秘に皇室典範改正準備室を設け、法改正などの準備に入っていたことを明かしましたが、「生前退位」については検討対象とはしていなかったのですね。大変な混乱を招き、予算も膨大にかかりますから、当然でしょう。しかし、あくまで生前退位に固執する宮内庁(天皇・秋篠宮)サイドは、国民に訴えて、つまりマスコミを操作して国民世論を一定方向へ誘導し、自らの希望をゴリ押ししようとNHKにリークしたというのが真相のようです。
NHKスクープ後の民放の追随は、電通を使った形跡があります。皇統について典範改正を語るなら、愛子さまのご存在を避けては通れないはずが、そのお名前はいっさい出ず、秋篠宮と悠仁さまの名だけが頻出したという事態は異常です。宮内庁が電通を通じてTVを使い、一定方向へ誘導する言論操作をした疑いは濃厚です。なかでも宮内庁からの虚偽のリークに応じて社会を混乱させたNHKは、放送倫理に違反したとして、放送倫理委員会(BPO)で対応すべきではないでしょうか。紀子さま懐妊リークの前科と合わせ、秋篠宮家との癒着による情報操作は、民主主義国家の公営放送として放置できないスキャンダルであり、問題にしてしかるべきです。
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14日夜には、「生前退位」がなぜ無理なのかという解説も行われました。日テレニュースでは、天皇の国政への関与を禁じた憲法第4条に抵触する可能性があり、「摂政」を置くことを定めた憲法第5条との整合性も問題になることが詳しく説明されました。これらについて宮内庁はもちろん承知のうえで、NHKへのリークを行ったわけです。リークしておきながら、事実か否かを問われれば、「全否定」するという荒業をやってのけたのですね。呆れるばかりです。
■7月15日:政府は「無理」とするも宮内庁は諦めず?
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政府は憲法を根拠に「生前退位は無理」としているわけですが、宮内庁はまだ諦めきれないようで(秋篠宮サイドを説得できない?)、天皇の生前退位の意向について、天皇自らが気持ちを公表する方向で検討しているということです。天皇が自らの気持ちを語るのは通常は年に一度、誕生日の記者会見のみだが、それ以外の機会を設けるとのこと。今上陛下は「公務を行って初めて象徴天皇である」という信念のもと、「将来、年をとることで公務が果たせなくなっては自身の考える天皇像とズレが生じる」と心配しておられるそうで、そうした気持ちを国民に知らせるものとし、「退位」など制度に踏み込むものではないとしています。
しかし、大変な負担を国民に強いる「生前退位」の理由は、その「お気持ち」だけなのでしょうか。本当の理由は、秋篠宮を皇太弟に、悠仁さまを正当な皇位継承者に、その二人の姉に女性宮家を、というところにあることは容易に推測できます。宮内庁が姉二人のための女性宮家創設に動いたとき、天皇「愁訴」とまで書かれたことは記憶に鮮明です。その方向への皇室典範改正こそ真の理由でしょう。しかしそれが実現すれば、本来、清く正しく美しくあるべき皇室が、どんな暗黒皇室になってしまうことか。不正で真っ黒な皇室を戴くことは日本国民に耐え難い不幸をもたらします。それだけは、お許しいただきたい。
油断ならないのは、政府は「退位は無理」とする一方、天皇の意向は尊重すべきとの声も、特に「自民党内に」根強くあるということです。そういう声があるからこそ、宮内庁もそう簡単には諦めず、「天皇のお言葉」公表で国民に訴えるなど、綱引きを続けるつもりなのでしょう。天皇を絶対善、至高の存在として崇め奉り、その言葉を絶対視する人たちは一定数存在し、彼らは「声が大きい」存在です。日本会議など、組織的に動ける人たちです。いっぽう、秋篠宮家の不正に憤り、皇室の男尊女卑、女性の人権蹂躙を危惧する人たちは数は多くともバラバラで組織だっておらず、「声が小さい」存在です。綱引きの結果は、日本に将来にわたって大きな不幸をもたらすものになってしまう可能性があるのではと恐れます。
<画像引用サイトURL>
・天皇陛下「生前退位」の意向
http://www.news24.jp/articles/2016/07/13/07335288.html
・「生前退位」海外メディアも大きく伝える
http://www.news24.jp/articles/2016/07/14/10335324.html
・政府関係者「天皇陛下の生前退位は無理」
http://www.news24.jp/articles/2016/07/14/04335383.html
・天皇陛下自らお気持ちを公表 宮内庁が検討
http://www.news24.jp/articles/2016/07/15/07335429.html
・生前退位“難しい”理由…政治部長解説
http://www.news24.jp/articles/2016/07/15/04335448.html
【7月16日:追加記事】
「生前退位」をNHKにリークしたのは秋篠宮サイドであることが判明。生前退位の隠された(もっとも大きな)目的は、皇室典範を改正し秋篠宮を「皇太弟」として皇太子の位に位置づけ、秋篠宮家を内廷皇族とすることにあることがわかってきました。天皇(秋篠宮)の意図を汲んで皇室典範改正を進めたい宮内庁と、憲法違反(天皇の政治介入)を危惧する政府との間に、齟齬が生じているらしいこともわかってきました。
■皇室典範改正で秋篠宮「皇太弟」地位確立のたくらみ
7月13日午後7時過ぎ、帰宅途中の車の中で天皇の「生前退位」を大々的に伝えるNHKニュースを聞いた私は、実に嫌な気分に襲われました。「皇太子さまに天皇の位を譲る」云々という説明の言葉を聞いてもまったく晴れやかな気持ちにはなれず、「秋篠宮家が皇太弟の地位を取りに来たのだな」としか思えなかったのです。翌日午後、「テレあさ スーパーJチャンネル」で所功氏の「生前退位」解説を聞き、それは確信に変わりました。以下は、Webサイトで同番組を再視聴し、所氏の解説の重要部分を書き起こしたものです。
●皇室会議とは?「生前退位」専門家が徹底解説
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笛吹:こちらが皇室の構成なんですけれども。82歳の天皇陛下のあと、皇位を継承するのは、56歳の皇太子さま、第2位が秋篠宮さま、第3位が悠仁さまとなっています。
女子アナ:ということで、生前退位ということで、皇太子さまに天皇陛下は譲られるお考えですけれども、所さん、これはすんなりと進められるものなんでしょうか。
所:もちろんこれは現在の皇室典範を改正しなければ。現在の皇室典範は「終身在位」といいますか、皇室典範第4条に「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」という規定になっていますから、これを改正しなければ先に進めないんですが。皇太子さままでは皇太子が天皇になられることが可能になるんですね。問題は、その次が大事でして。皇嗣(コウシ)というのは天皇の跡継ぎということですが、その方は天皇のお子さん、皇子(おうじ)だということが、また別のところに書いてありますから。
すると、皇太子さまが天皇になられた場合、皇子がおられませんから、その方はいったいどなたかといえば、ふつうは、典範第1条に基づいて、秋篠宮さまだ、その先は悠仁さまだということになりますし。そうだと思うんですけども。それを可能にするためには、皇太弟たる方を皇太子とみなすとか、あるいは、皇太弟たる方も内廷皇族とするということをちゃんとしておかないと、先に進めないということだと思います。
女子アナ:そういう1つ1つルールを作っていくことが、今、求められているということなんですね。
所 はい、はい。
女性アナ:話し合いを進めるのに、時間がかかりそうだなという印象があります。
所:この点はですね、伝えられるところ、陛下は数年先にそれが実現できるようにとおっしゃいましたから、ある意味で、若干まだ時間があるんですが。きちんと議論をするためには、少なくとも、1,2年の時間は必要になると思うんですね。その際に、どういう手続きで、どういう方法でこれを実現するかによって、変わってくると思います。あまりその、簡単な方法でみんなに意見を求めるということは難しいと思うんですね。これだけの歴史がある皇室を、今後とも安定的に継承するためには。むしろ私は、あえて申しますと、皇室会議というものがありますから、そこできちんと情報を共有して、一定の方向性を見出して、それを政府に進言もしくは答申をして、それに基づいた法律案は、与野党を超えて、みんなでそれを成立するようにすると。
念のためですが、皇室会議は、皇族2名と三権の代表8名からなっていますし、国会の場合、正副議長ですから、与党と野党の代表者も入ることになりますので。議長は総理大臣ですから。そういう意味で、国民の意見を背景として、皇室会議でしっかりと議論をすると。そのうえで政府が法案を出すという。国会ではすんなりそれを通すと、そういうことでないと。前に、有識者会議など立ち上げますと、かえって意見が分かれてしまって、いつまでも結論が出ないということになると思います。
女性アナ:法律をどう変えていくかという手順も、今のところしっかりとしたルールがあるわけではないんですね。
所:そうなんです。とくに皇室会議のことを申しましたが、皇室会議は従来、そういう機能果たしておりませんから、できるような法解釈なり、あるいは現実対応をしなければいけないと思います。
女性アナ:国民を巻き込んだというか、どういう形がいいのか、大きく議論をする必要も出てきますね。
所:はい。
■皇室会議の皇族メンバーは秋篠宮
さて、所さんが改正法案の作成機関としてイチオシする「皇室会議」を構成する「皇族2名」のうち1名は、秋篠宮です(もう1名は華子さま)。しかし所さん、皇室会議に「そういう機能」を新たに持たせるために法解釈を曲げよと言っているに等しいし、有識者会議(愛子様女帝法案を作りましたね)や、国民一般の声を聴くこと(前に女性宮家案を通そうとして痛い目にあった「パブリックコメント」を指しているのでしょう)などは、しないほうがいいとも言っているし、めちゃくちゃですね。秋篠宮を皇太子としての意味を持つ皇太弟にするために、秋篠宮家を内廷皇族にするために、とにかく急いで法改正をしないといけない、と主張しているわけです。皇太子さまが即位された後、天皇の唯一のお子さまとなる愛子さまのご存在はなきものとして。王室をもつヨーロッパ諸国が次々に女性も王位継承者と認める法改正をしていることは無いこととして。
■NHKに「生前退位」をリークしたのは秋篠宮
『リテラ』の記事に次の記述がありました。
=引用開始=
実際、今回のNHKの情報源は、天皇本人にきわめて近いスジではないかといわれている。「今回、スクープしたのはNHKの宮内庁担当のHという記者なんですが、彼は秋篠宮に食い込んでいる。そんなところから、天皇が秋篠宮を通じて意志を伝えたのではないかといわれています。実際、秋篠宮は数年前、記者会見で「(天皇の)定年制が必要になってくると思います」と述べたことがあり、このときも天皇の意向を代弁したものだといわれました。天皇はこのころからしばしば生前退位の制度を作るよう要望を出されていたのですが、1年前くらいからその意向が非常に強くなったようです」(全国紙宮内庁担当記者)
=引用ここまで=
愛子様女帝法案を反故にしたNHKの紀子さん懐妊リークも、まだ決まってもいない秋篠宮夫妻の外遊リークも、すべて秋篠宮サイドから、「秋篠宮に食い込んでいる」NHK宮内庁担当記者を通じてスクープされたのでしょうね。
この後、リテラの記者は、天皇が生前退位の姿勢を強く示したのは「安倍政権の改憲の動きに対し、天皇が身を賭して抵抗の姿勢を示した」のではないかという見方を紹介し、それを補強する論陣を張るのですが。右も左も自分の都合のいいように天皇を美化して考える癖があるようです。天皇美化癖の治療、天皇アリガタヤ病の洗脳から日本人を解き放つリハビリが必要としみじみ思います。今現在の日本、これからの日本のための大きな課題といっていいのではないでしょうか。以下は、毎日新聞の<天皇陛下「退位」意向 識者の見方>という記事から原武史氏のコメントを一部引用したものです。
=引用開始=
70年、深い議論ないまま 放送大学教授(日本政治思想史)原武史さん
江戸時代、天皇の存在はさほど大きくはなかった。一方で、今の天皇制は、天皇を神格化した明治以降の要素を受け継いでいるように思える。皇室は国民にとってまだまだ恐れ多い存在で、ともすればイデオロギー的な論争になりがちだ。象徴としての天皇が果たすべき役割とは何か、深い議論がなされないまま戦後70年が経過した。生前退位を打ち出すことで、冷静な国民的議論がわき起こることを望んでいるようにも感じる。
=引用ここまで=
しかし、原さんの思いとは違い、宮内庁(天皇/秋篠宮)サイドは、「冷静な国民的議論がわき起こることを望んで」は決していないでしょう。すっかり宮内庁のスピーカーになってしまわれたご様子の所さんは、有識者会議もパブリックコメントもスピーディな議論の妨げになるから邪魔と言っていますし。天皇の意向に気を遣うTVでは、「おいたわしい。お好きなようにしてさしあげたい」という国民の声しか紹介されていませんし。当ブログのような「冷静な意見」は、マスメディアには決して載らない。愛子様を女帝に、という圧倒的多数の国民の声をいかに潰すか、無いものとするかしか、考えていないはず。
宮内庁と政府の思惑のズレについては、次回に書きたいと思います。このズレに、わずかな希望が見いだせそうな気もします。
【7月13日:初出記事】
7月13日午後7時のNHKニュースは天皇陛下の生前退位のご意向を伝え、同日夜、どのTV局もトップニュースとして扱いました。しかし、この日の午後9時50分、朝日のWebサイトでは真逆のニュースが掲載されました。宮内庁の山本信一郎次長は「報道されたような事実は一切ない」と述べ、NHKの報道を全面否定したというのです。宮内庁内部で何が起きているのでしょうか?
このニュースについて投稿された2つのコメントを紹介します。
このトピックを、このテーマについてコメントする場(情報追加や意見投稿の場)としてご利用ください。
■天皇陛下の「生前退位」意向報道に驚き(by anima mea様)
本日13日、驚くべきニュースが入ってきました。
天皇陛下が「生前退位」の意向を示され、数年内に皇太子殿下に天皇の位を譲られるとのことです。
>天皇陛下が「生前退位」の意向示す、数年内に譲位=報道
2016年 07月 13日 20:40 JST
正直なところ、こういう展開はまったく予想していなかったために陛下のご意向に心底驚いております。
海外でもさっそく速報ニュース扱いとなっているようです。
現在の皇室典範には「生前退位」という条項は設けられていないため、法を改正するなどの手続きを経なければならないので数年かかるのは致し方ないと思います。しかし、陛下もこのような決断を昨日今日で行ったわけではなく、もう数年前から考えられていたとも言われています。陛下なりに色々熟考した上でのご意向だと考えると、今まで何も知らずに陛下を批判してしまった自分を恥じたい気持ちです。
しかし、仮に生前退位を実現化するとなると、様々な問題が持ち上がるでしょう。次の皇太子の地位に誰がつくのか?という点が一番大きいですが、退位した陛下のお立場はどうなるのか(新しい位の新設?上皇?院?それともただの親王に戻られるのか?)、自民党が一度白紙に戻した女性宮家の創設の問題など、揉めそうなことがたくさんあります。
これらは生前退位の問題とセットで考えなければならないでしょう。
また、陛下の生前退位のご意向について、美智子皇后と皇太子殿下、秋篠宮は承知しているという報道もありますが、陛下のご意向に納得していない人もいるのではないか?(誰とは言いませんが…)という疑問もあります。
「生前退位」という概念自体は、既に3年ほど前から取り沙汰されていた問題ではあったようです(秋篠宮が誕生日会見でその点について触れたことが契機だったように思います)。
その時は「悠仁親王に早々に位を譲りたがっていることの表れ」「悠仁様即位待望論だ」という勝手な考えを述べている輩もいたようですが、今回の陛下のご決断は決してそういうものではないということを信じたいです。
陛下ご自身は「皇太子殿下に位を譲る意向」と明言していますが、その先はまだ何も分からないというのが現状だと思います。
しかし、このニュースをめぐってまた東宮アンチの秋篠家シンパ連中が自分たちに都合よく解釈するコメントを垂れ流しそうで嫌ですね。
■天皇の生前譲位に関する真逆のニュース(by あかつき様)
NHK午後7時のニュースの冒頭、天皇の生前譲位について報道され、びっくりしていたところ、
さきほどWebニュースでこんな記事を見て、さらに驚きました。
>宮内庁次長は全面否定「報道の事実一切ない」 生前退位
2016年7月13日21時50分
宮内庁の山本信一郎次長は13日夜、宮内庁内で報道陣の取材に応じ、「報道されたような事実は一切ない」と述べ、NHKが伝えた生前退位について全面的に否定した。宮内庁として検討しているかに関しては、「その大前提となる(天皇陛下の)お気持ちがないわけだから、検討していません」と語った。
ニュースの引用は以上です。
いったいぜんたい、どうなっているのでしょうか?
宮内庁内部で分裂、権力闘争でも勃発しているのでしょうか?
前回の追加記事では、NHKの「生前退位」スクープに秋篠宮サイドが関わっていたこと、多くのメディアが皇室典範改正に言及したものの、次期皇太子であられるべき東宮家の長女・愛子さまのご存在にはふれず、秋篠宮を皇太弟とするべきなどとする言論が横行したことを記しました。しかしその後、宮内庁と政府の姿勢にズレがあることが明らかとなり、「生前退位」の実現は困難であることがクローズアップされています。今回の記事で、その目まぐるしく変遷した報道の流れについて確認しておきたいと思います。
■7月13日~14日:NHKスクープとメディアの追随

NHKが「生前退位」をスクープしたのは7月13日午後7時のニュースで、その後テレビ番組のほとんどがこれに追随。宮内庁は全否定するも、それを無視するかのように、多くのメディアが「生前退位」についてトップニュースとして扱いました。翌14日の新聞朝刊はほぼ全紙が一面トップで「生前退位」を取り上げ、TVのワイドショーも特集を組み、海外メディアでも大きく伝えられました。日本のメディアが「皇太弟」を連発したのはこのときです。
■7月14日:「生前退位は無理」と政府高官が明言、宮内庁との齟齬が明らかに

14日は宮内庁御用達の「識者」がマスメディアに頻出して皇太弟の必要をアピールしていましたが、政府の逆襲はすでに当日朝からスタートしていました。安倍首相は「事柄の性格上コメントすることは差し控えさせていただきたい」と述べ、閣僚からは「公務軽減を軸に検討を」「摂政の検討を」という発言はあったものの、「生前退位」を肯定する発言はありませんでした。さらに「政府高官」名で、「生前退位は無理」というコメントが出され、官邸と宮内庁の齟齬が明らかになりました。
政府は、首相官邸で極秘に皇室典範改正準備室を設け、法改正などの準備に入っていたことを明かしましたが、「生前退位」については検討対象とはしていなかったのですね。大変な混乱を招き、予算も膨大にかかりますから、当然でしょう。しかし、あくまで生前退位に固執する宮内庁(天皇・秋篠宮)サイドは、国民に訴えて、つまりマスコミを操作して国民世論を一定方向へ誘導し、自らの希望をゴリ押ししようとNHKにリークしたというのが真相のようです。
NHKスクープ後の民放の追随は、電通を使った形跡があります。皇統について典範改正を語るなら、愛子さまのご存在を避けては通れないはずが、そのお名前はいっさい出ず、秋篠宮と悠仁さまの名だけが頻出したという事態は異常です。宮内庁が電通を通じてTVを使い、一定方向へ誘導する言論操作をした疑いは濃厚です。なかでも宮内庁からの虚偽のリークに応じて社会を混乱させたNHKは、放送倫理に違反したとして、放送倫理委員会(BPO)で対応すべきではないでしょうか。紀子さま懐妊リークの前科と合わせ、秋篠宮家との癒着による情報操作は、民主主義国家の公営放送として放置できないスキャンダルであり、問題にしてしかるべきです。

14日夜には、「生前退位」がなぜ無理なのかという解説も行われました。日テレニュースでは、天皇の国政への関与を禁じた憲法第4条に抵触する可能性があり、「摂政」を置くことを定めた憲法第5条との整合性も問題になることが詳しく説明されました。これらについて宮内庁はもちろん承知のうえで、NHKへのリークを行ったわけです。リークしておきながら、事実か否かを問われれば、「全否定」するという荒業をやってのけたのですね。呆れるばかりです。
■7月15日:政府は「無理」とするも宮内庁は諦めず?

政府は憲法を根拠に「生前退位は無理」としているわけですが、宮内庁はまだ諦めきれないようで(秋篠宮サイドを説得できない?)、天皇の生前退位の意向について、天皇自らが気持ちを公表する方向で検討しているということです。天皇が自らの気持ちを語るのは通常は年に一度、誕生日の記者会見のみだが、それ以外の機会を設けるとのこと。今上陛下は「公務を行って初めて象徴天皇である」という信念のもと、「将来、年をとることで公務が果たせなくなっては自身の考える天皇像とズレが生じる」と心配しておられるそうで、そうした気持ちを国民に知らせるものとし、「退位」など制度に踏み込むものではないとしています。
しかし、大変な負担を国民に強いる「生前退位」の理由は、その「お気持ち」だけなのでしょうか。本当の理由は、秋篠宮を皇太弟に、悠仁さまを正当な皇位継承者に、その二人の姉に女性宮家を、というところにあることは容易に推測できます。宮内庁が姉二人のための女性宮家創設に動いたとき、天皇「愁訴」とまで書かれたことは記憶に鮮明です。その方向への皇室典範改正こそ真の理由でしょう。しかしそれが実現すれば、本来、清く正しく美しくあるべき皇室が、どんな暗黒皇室になってしまうことか。不正で真っ黒な皇室を戴くことは日本国民に耐え難い不幸をもたらします。それだけは、お許しいただきたい。
油断ならないのは、政府は「退位は無理」とする一方、天皇の意向は尊重すべきとの声も、特に「自民党内に」根強くあるということです。そういう声があるからこそ、宮内庁もそう簡単には諦めず、「天皇のお言葉」公表で国民に訴えるなど、綱引きを続けるつもりなのでしょう。天皇を絶対善、至高の存在として崇め奉り、その言葉を絶対視する人たちは一定数存在し、彼らは「声が大きい」存在です。日本会議など、組織的に動ける人たちです。いっぽう、秋篠宮家の不正に憤り、皇室の男尊女卑、女性の人権蹂躙を危惧する人たちは数は多くともバラバラで組織だっておらず、「声が小さい」存在です。綱引きの結果は、日本に将来にわたって大きな不幸をもたらすものになってしまう可能性があるのではと恐れます。
<画像引用サイトURL>
・天皇陛下「生前退位」の意向
http://www.news24.jp/articles/2016/07/13/07335288.html
・「生前退位」海外メディアも大きく伝える
http://www.news24.jp/articles/2016/07/14/10335324.html
・政府関係者「天皇陛下の生前退位は無理」
http://www.news24.jp/articles/2016/07/14/04335383.html
・天皇陛下自らお気持ちを公表 宮内庁が検討
http://www.news24.jp/articles/2016/07/15/07335429.html
・生前退位“難しい”理由…政治部長解説
http://www.news24.jp/articles/2016/07/15/04335448.html
【7月16日:追加記事】
「生前退位」をNHKにリークしたのは秋篠宮サイドであることが判明。生前退位の隠された(もっとも大きな)目的は、皇室典範を改正し秋篠宮を「皇太弟」として皇太子の位に位置づけ、秋篠宮家を内廷皇族とすることにあることがわかってきました。天皇(秋篠宮)の意図を汲んで皇室典範改正を進めたい宮内庁と、憲法違反(天皇の政治介入)を危惧する政府との間に、齟齬が生じているらしいこともわかってきました。
■皇室典範改正で秋篠宮「皇太弟」地位確立のたくらみ
7月13日午後7時過ぎ、帰宅途中の車の中で天皇の「生前退位」を大々的に伝えるNHKニュースを聞いた私は、実に嫌な気分に襲われました。「皇太子さまに天皇の位を譲る」云々という説明の言葉を聞いてもまったく晴れやかな気持ちにはなれず、「秋篠宮家が皇太弟の地位を取りに来たのだな」としか思えなかったのです。翌日午後、「テレあさ スーパーJチャンネル」で所功氏の「生前退位」解説を聞き、それは確信に変わりました。以下は、Webサイトで同番組を再視聴し、所氏の解説の重要部分を書き起こしたものです。
●皇室会議とは?「生前退位」専門家が徹底解説


笛吹:こちらが皇室の構成なんですけれども。82歳の天皇陛下のあと、皇位を継承するのは、56歳の皇太子さま、第2位が秋篠宮さま、第3位が悠仁さまとなっています。
女子アナ:ということで、生前退位ということで、皇太子さまに天皇陛下は譲られるお考えですけれども、所さん、これはすんなりと進められるものなんでしょうか。
所:もちろんこれは現在の皇室典範を改正しなければ。現在の皇室典範は「終身在位」といいますか、皇室典範第4条に「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」という規定になっていますから、これを改正しなければ先に進めないんですが。皇太子さままでは皇太子が天皇になられることが可能になるんですね。問題は、その次が大事でして。皇嗣(コウシ)というのは天皇の跡継ぎということですが、その方は天皇のお子さん、皇子(おうじ)だということが、また別のところに書いてありますから。
すると、皇太子さまが天皇になられた場合、皇子がおられませんから、その方はいったいどなたかといえば、ふつうは、典範第1条に基づいて、秋篠宮さまだ、その先は悠仁さまだということになりますし。そうだと思うんですけども。それを可能にするためには、皇太弟たる方を皇太子とみなすとか、あるいは、皇太弟たる方も内廷皇族とするということをちゃんとしておかないと、先に進めないということだと思います。
女子アナ:そういう1つ1つルールを作っていくことが、今、求められているということなんですね。
所 はい、はい。
女性アナ:話し合いを進めるのに、時間がかかりそうだなという印象があります。
所:この点はですね、伝えられるところ、陛下は数年先にそれが実現できるようにとおっしゃいましたから、ある意味で、若干まだ時間があるんですが。きちんと議論をするためには、少なくとも、1,2年の時間は必要になると思うんですね。その際に、どういう手続きで、どういう方法でこれを実現するかによって、変わってくると思います。あまりその、簡単な方法でみんなに意見を求めるということは難しいと思うんですね。これだけの歴史がある皇室を、今後とも安定的に継承するためには。むしろ私は、あえて申しますと、皇室会議というものがありますから、そこできちんと情報を共有して、一定の方向性を見出して、それを政府に進言もしくは答申をして、それに基づいた法律案は、与野党を超えて、みんなでそれを成立するようにすると。
念のためですが、皇室会議は、皇族2名と三権の代表8名からなっていますし、国会の場合、正副議長ですから、与党と野党の代表者も入ることになりますので。議長は総理大臣ですから。そういう意味で、国民の意見を背景として、皇室会議でしっかりと議論をすると。そのうえで政府が法案を出すという。国会ではすんなりそれを通すと、そういうことでないと。前に、有識者会議など立ち上げますと、かえって意見が分かれてしまって、いつまでも結論が出ないということになると思います。
女性アナ:法律をどう変えていくかという手順も、今のところしっかりとしたルールがあるわけではないんですね。
所:そうなんです。とくに皇室会議のことを申しましたが、皇室会議は従来、そういう機能果たしておりませんから、できるような法解釈なり、あるいは現実対応をしなければいけないと思います。
女性アナ:国民を巻き込んだというか、どういう形がいいのか、大きく議論をする必要も出てきますね。
所:はい。
■皇室会議の皇族メンバーは秋篠宮
さて、所さんが改正法案の作成機関としてイチオシする「皇室会議」を構成する「皇族2名」のうち1名は、秋篠宮です(もう1名は華子さま)。しかし所さん、皇室会議に「そういう機能」を新たに持たせるために法解釈を曲げよと言っているに等しいし、有識者会議(愛子様女帝法案を作りましたね)や、国民一般の声を聴くこと(前に女性宮家案を通そうとして痛い目にあった「パブリックコメント」を指しているのでしょう)などは、しないほうがいいとも言っているし、めちゃくちゃですね。秋篠宮を皇太子としての意味を持つ皇太弟にするために、秋篠宮家を内廷皇族にするために、とにかく急いで法改正をしないといけない、と主張しているわけです。皇太子さまが即位された後、天皇の唯一のお子さまとなる愛子さまのご存在はなきものとして。王室をもつヨーロッパ諸国が次々に女性も王位継承者と認める法改正をしていることは無いこととして。
■NHKに「生前退位」をリークしたのは秋篠宮
『リテラ』の記事に次の記述がありました。
=引用開始=
実際、今回のNHKの情報源は、天皇本人にきわめて近いスジではないかといわれている。「今回、スクープしたのはNHKの宮内庁担当のHという記者なんですが、彼は秋篠宮に食い込んでいる。そんなところから、天皇が秋篠宮を通じて意志を伝えたのではないかといわれています。実際、秋篠宮は数年前、記者会見で「(天皇の)定年制が必要になってくると思います」と述べたことがあり、このときも天皇の意向を代弁したものだといわれました。天皇はこのころからしばしば生前退位の制度を作るよう要望を出されていたのですが、1年前くらいからその意向が非常に強くなったようです」(全国紙宮内庁担当記者)
=引用ここまで=
愛子様女帝法案を反故にしたNHKの紀子さん懐妊リークも、まだ決まってもいない秋篠宮夫妻の外遊リークも、すべて秋篠宮サイドから、「秋篠宮に食い込んでいる」NHK宮内庁担当記者を通じてスクープされたのでしょうね。
この後、リテラの記者は、天皇が生前退位の姿勢を強く示したのは「安倍政権の改憲の動きに対し、天皇が身を賭して抵抗の姿勢を示した」のではないかという見方を紹介し、それを補強する論陣を張るのですが。右も左も自分の都合のいいように天皇を美化して考える癖があるようです。天皇美化癖の治療、天皇アリガタヤ病の洗脳から日本人を解き放つリハビリが必要としみじみ思います。今現在の日本、これからの日本のための大きな課題といっていいのではないでしょうか。以下は、毎日新聞の<天皇陛下「退位」意向 識者の見方>という記事から原武史氏のコメントを一部引用したものです。
=引用開始=
70年、深い議論ないまま 放送大学教授(日本政治思想史)原武史さん
江戸時代、天皇の存在はさほど大きくはなかった。一方で、今の天皇制は、天皇を神格化した明治以降の要素を受け継いでいるように思える。皇室は国民にとってまだまだ恐れ多い存在で、ともすればイデオロギー的な論争になりがちだ。象徴としての天皇が果たすべき役割とは何か、深い議論がなされないまま戦後70年が経過した。生前退位を打ち出すことで、冷静な国民的議論がわき起こることを望んでいるようにも感じる。
=引用ここまで=
しかし、原さんの思いとは違い、宮内庁(天皇/秋篠宮)サイドは、「冷静な国民的議論がわき起こることを望んで」は決していないでしょう。すっかり宮内庁のスピーカーになってしまわれたご様子の所さんは、有識者会議もパブリックコメントもスピーディな議論の妨げになるから邪魔と言っていますし。天皇の意向に気を遣うTVでは、「おいたわしい。お好きなようにしてさしあげたい」という国民の声しか紹介されていませんし。当ブログのような「冷静な意見」は、マスメディアには決して載らない。愛子様を女帝に、という圧倒的多数の国民の声をいかに潰すか、無いものとするかしか、考えていないはず。
宮内庁と政府の思惑のズレについては、次回に書きたいと思います。このズレに、わずかな希望が見いだせそうな気もします。
【7月13日:初出記事】
7月13日午後7時のNHKニュースは天皇陛下の生前退位のご意向を伝え、同日夜、どのTV局もトップニュースとして扱いました。しかし、この日の午後9時50分、朝日のWebサイトでは真逆のニュースが掲載されました。宮内庁の山本信一郎次長は「報道されたような事実は一切ない」と述べ、NHKの報道を全面否定したというのです。宮内庁内部で何が起きているのでしょうか?
このニュースについて投稿された2つのコメントを紹介します。
このトピックを、このテーマについてコメントする場(情報追加や意見投稿の場)としてご利用ください。
■天皇陛下の「生前退位」意向報道に驚き(by anima mea様)
本日13日、驚くべきニュースが入ってきました。
天皇陛下が「生前退位」の意向を示され、数年内に皇太子殿下に天皇の位を譲られるとのことです。
>天皇陛下が「生前退位」の意向示す、数年内に譲位=報道
2016年 07月 13日 20:40 JST
正直なところ、こういう展開はまったく予想していなかったために陛下のご意向に心底驚いております。
海外でもさっそく速報ニュース扱いとなっているようです。
現在の皇室典範には「生前退位」という条項は設けられていないため、法を改正するなどの手続きを経なければならないので数年かかるのは致し方ないと思います。しかし、陛下もこのような決断を昨日今日で行ったわけではなく、もう数年前から考えられていたとも言われています。陛下なりに色々熟考した上でのご意向だと考えると、今まで何も知らずに陛下を批判してしまった自分を恥じたい気持ちです。
しかし、仮に生前退位を実現化するとなると、様々な問題が持ち上がるでしょう。次の皇太子の地位に誰がつくのか?という点が一番大きいですが、退位した陛下のお立場はどうなるのか(新しい位の新設?上皇?院?それともただの親王に戻られるのか?)、自民党が一度白紙に戻した女性宮家の創設の問題など、揉めそうなことがたくさんあります。
これらは生前退位の問題とセットで考えなければならないでしょう。
また、陛下の生前退位のご意向について、美智子皇后と皇太子殿下、秋篠宮は承知しているという報道もありますが、陛下のご意向に納得していない人もいるのではないか?(誰とは言いませんが…)という疑問もあります。
「生前退位」という概念自体は、既に3年ほど前から取り沙汰されていた問題ではあったようです(秋篠宮が誕生日会見でその点について触れたことが契機だったように思います)。
その時は「悠仁親王に早々に位を譲りたがっていることの表れ」「悠仁様即位待望論だ」という勝手な考えを述べている輩もいたようですが、今回の陛下のご決断は決してそういうものではないということを信じたいです。
陛下ご自身は「皇太子殿下に位を譲る意向」と明言していますが、その先はまだ何も分からないというのが現状だと思います。
しかし、このニュースをめぐってまた東宮アンチの秋篠家シンパ連中が自分たちに都合よく解釈するコメントを垂れ流しそうで嫌ですね。
■天皇の生前譲位に関する真逆のニュース(by あかつき様)
NHK午後7時のニュースの冒頭、天皇の生前譲位について報道され、びっくりしていたところ、
さきほどWebニュースでこんな記事を見て、さらに驚きました。
>宮内庁次長は全面否定「報道の事実一切ない」 生前退位
2016年7月13日21時50分
宮内庁の山本信一郎次長は13日夜、宮内庁内で報道陣の取材に応じ、「報道されたような事実は一切ない」と述べ、NHKが伝えた生前退位について全面的に否定した。宮内庁として検討しているかに関しては、「その大前提となる(天皇陛下の)お気持ちがないわけだから、検討していません」と語った。
ニュースの引用は以上です。
いったいぜんたい、どうなっているのでしょうか?
宮内庁内部で分裂、権力闘争でも勃発しているのでしょうか?